Japanische Klassiker mit Furigana
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たまとりものがたり
玉取物語
久生 十蘭
Lesen Sie 玉取物語 (たまとりものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.495 Zeichen · 19 Bildschirme
その頃、蜑を抱えまするとき、前もって一方の鮑玉を切取る例がござったが、蜑どもにしては、鮑玉の一方が残って居れば、いつでも想う人の子を孕むことができるというその心をうたったものと解して居ります。とりとめもない話でございますが、なにせよ古い頃のことで」そう言って、恭しくお辞儀をしたものであった。
さてその間、なにやかとごたごたしたが、自然のうちに御差止が許れ、翌日(十一月四日)の正午から我が国はじまって以来のふぐり外科の施術にとりかかった。昼の午の刻から暮れ切るまでかかり、見ん事、殿の御宝蔵から腐れ宝珠をとりいだした。その次第は、殿の日記に見えてござる。
切るところを見定めんとするなるべし。まず畳五畳ばかり重ねた上に寝させたり。刀を執るものは戸塚静海を長として、林洞海、三宅良斎なり。伊東玄朴かたわらにありて、何くれとなく計らい定む。大槻俊斎はおのれの胸をば右の手でしっかりとおさえつけ、左の手に蘭書を持ち、一寸の誤ちもあらせじと心を配るなりけり。竹内玄洞は薬のことを司れるが、おのれが顔を見つつ、心地いかにいかにと問うなり。玄朴の教え子二人、左右の足をおさえて動かさず、洞海の教え子ら、水よ布よ、と役送す。