Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだいしょうせつてんぼう
現代小説展望
豊島 与志雄
Lesen Sie 現代小説展望 (げんだいしょうせつてんぼう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.254 Zeichen · 70 Bildschirme
彼等が生きていて駆廻ったり蹂躙ったり、安眠を妨げたりするのを憎んでいる――とそんな風に考えた。この果知れぬ曠野が今にもまっ二つに裂けて、すっぽりと彼等を挟みこんで、そのまま葬ってしまうだろうと感じた。そして彼等は絶望した。
「手前、俺等を何所へ連れて行くんでえ?」と彼等は年取った狼を詰問した。「手前途を知ってるかい、何所へ出るんでえ?」年取った狼は黙っている。
が、一番若い馬鹿な狼が殊更しつこく、こういってつめかけてきた時、年取った狼は振返ってぼんやり彼をながめたが、急に殺気を帯びてきて、返答する代りにざくりと彼の頸項に咬みついた。
(昇曙夢訳)
こういう章を読んでゆくと、雪の曠野を彷徨してる飢えた狼だけでなく、その中に直接現われてる一種の人間生活の相貌を、吾々は感ずる。しかもこの一篇の中には人間は殆ど立現われてこないのである。
作品において、素材は何でも構わない。作者が何を見、何を感じ、何を描いているか、そしてそれが作品のなかにどういう風に現われているか、それが肝要な問題である。
或る素材について、作者が何を見、何を感じ、何を描いているかということは、結局その素材に対して作者がどういう態度をとっているか、ということに帰着する。