Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじつのひつよう
現実の必要
宮本 百合子
Lesen Sie 現実の必要 (げんじつのひつよう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.068 Zeichen · 9 Bildschirme
この草案と照し合わせて、私たちの現実を見まわしたとき、すべての人民は、せめてここに云われている範囲までぐらい自分たちの生活が向上されなければ、これでは全く「人」以下だと思わざるを得ない。
私たちが、人として、故なく奴隷的労働や、その意に添わざる苦役をしないでよいことはこの草案にも云われている。かりに、この草案が決定したとき、政府はこれらの条項に対して、すべてが反対というに近い現実に対し、本当に、どうしようと思っているのだろう。この疑問は、幼稚な言葉であらわされるが、全く、どうしようと思っているかしら、と思う。
もう何年も、私たちは生きてゆくそのことを、自分たちの努力と分別とでやって来た。政府の力には、見当がついている。
今回の総選挙が、私たち全人民にとって深い関心事である所以はここにある。選挙前にこの草案が公表されたことは、或る意味がある。長い封建の習慣と、戦争中の圧迫とで、自分でものを考え、判断する癖さえ失くしている日本の多数者に、少くとも「人」は、どのような生きる権利をもっているかという標準を示した。その標準と、今日の底をついた非人間な実際との間に、どんな解決の道があるのだろう。