Japanische Klassiker mit Furigana
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りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme
然し彼女は平然と澄しきっている。最後の止めの一句を云ってしまうと、それで安心しきったように、然しまた凡てから暫く休らいだかのように、「少しお父さんに抱っこしていらっしゃい、」と云いながら子供を私の方へ差出す。「はるに抱かしたらいいじゃないか、」と私は答え返す。一寸諍いが起る。「あなたは子供に愛がないんだわ、」と彼女は云う。……ああ、何という無知な言であるか! 然し、私は彼女ほどは子供を愛していなかったのかも知れない。
斯かる反目の或る時――みさ子が泣きしきるのを私が知らない顔で放って置いた時、一寸台所に立って行ってた秀子は、急いでやって来るなりすぐにこう云った。
「あなた位勝手な人はない、私に怒ると子供にまで怒りなさるんだから。」
私は黙って答えなかった。明かにその通りだったのである。私は秀子に対して腹が立つと、子供に対してまで腹が立つのだった。彼女に対する憤懣の余には、子供に当りちらすことさえあった。私はそれが人の父たる態度ではないことを知っていた。然しどうも仕方がなかったのだ。……そして私に対する彼女の不満や反感は、其処から芽すことが多かった。