Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りそうのおんな

理想の女

豊島 与志雄

Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

夜中に夢にでも魘されたのだろう。その髪も産後の抜毛に薄くなって、生え際が妙に透いて見えた。起き上って髪を束ねるのに、長く時間を費した。表皮だけが白くて底艶のない顔をしながら、鋭い光りの眼で冷かに私に対した。そして殆んど熱狂的に、終日子供の世話ばかりやいていた。晩になるとよく居眠りをした。冷たい沈黙が家の中を支配した。そして同じような日々が、今に何か起りそうな危い瀬戸際をするすると滑るように、而も事もなく明けてはまた暮れた。私は殆んど書物も読まず仕事もしなかった。二階の書斎に寝転んだり、外へ出かけたりした。

そういううちに、私はふと千代子の夢をみるようになった。――千代子というのは私の叔父の一人娘で、私は幼い時からよく知っていた。始終往き来をしていた。そのうちに、私が大学に進み彼女が女学校の上級になると、隙が少いのと何だか憚られるのとで、いくらか疎遠がちになったけれども、互の心は両方から歩み寄っていた。彼女は四年級の時から卒業まで引続いて、然し慰み半分に、旧派とも新派ともつかぬ和歌を学んでいた。時々私へ自作の添削を頼んできた。私の方が彼女よりずっとまずかった。