Japanische Klassiker mit Furigana
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りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme
外へ出かけて早く帰って来るようになった。夜中に何度も眼を覚した。それは何とも云えない蠱惑的な楽しみだった。私はその怪しい瞬間的な愉悦に、自らつとめて耽ろうとまでした。そしてなお私が心を惑わしたことは、秀子までが彼女の夢をみたのだった。
或る朝、秀子は私に云った。
「今朝がた、千代子さんの夢を見ましたわ。」
私は驚いて彼女の顔を見つめた。そして口早に尋ねた。
「え、どんな夢? 何をしてた所だ? そして、初めてなのか、また何度もこの頃みるのか?」
私はへまだったんだ。秀子は私の様子を見て、何かに慴えたように肩を縮め、暫くじっと私の眼の中を覗き込んだ後に、漸く答えた。
「覚えていません。」
「覚えていないことがあるものか。どんな夢だったんだ?」と私はたたみかけて尋ねた。
彼女の様子は俄に変った。彼女は冷笑的に答えた。
「あなたは、まるで恋敵きみたいな調子ね。」
私は何か大きなものにはね飛ばされたような気がした。云い知れぬ憤りで頭が熱くなった。手の届く周囲を見廻した。敷島の一袋が眼にはいった。それを取るといきなり彼女へ投げつけた。煙草は彼女の所まで届かないで途中で落ちて散らばった。