Japanische Klassiker mit Furigana
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うりのなみだ
瓜の涙
泉 鏡花
Lesen Sie 瓜の涙 (うりのなみだ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.247 Zeichen · 21 Bildschirme
「この松の事だろうか……」
――金石の湊、宮の腰の浜へ上って、北海の鮹と烏賊と蛤が、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽な昔話がある――
人待石に憩んだ時、道中の慰みに、おのおの一芸を仕ろうと申合す。と、鮹が真前にちょろちょろと松の木の天辺へ這って、脚をぶらりと、
「藤の花とはどうだの、下り藤、上り藤。」と縮んだり伸びたり。
烏賊が枝へ上って、鰭を張った。
「印半纏見てくんねえ。……鳶職のもの、鳶職のもの。」
そこで、蛤が貝を開いて、
「善光寺様、お開帳。」とこう言うのである。
鉈豆煙管を噛むように啣えながら、枝を透かして仰ぐと、雲の搦んだ暗い梢は、ちらちらと、今も紫の藤が咲くか、と見える。
三
「――あすこに鮹が居ます――」
とこの高松の梢に掛った藤の花を指して、連の職人が、いまのその話をした時は……
ちょうど藤つつじの盛な頃を、父と一所に、大勢で、金石の海へ……船で鰯網を曵かせに行く途中であった……
楽しかった……もうそこの茶店で、大人たちは一度吸筒を開いた。早や七年も前になる……梅雨晴の青い空を、流るる雲に乗るように、松並木の梢を縫って、すうすうと尾長鳥が飛んでいる。