Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
ではなぜ父がわたくしの母のようなものを別に持ったのでしょうか。しまに言わせると父は大学時代から大酒飲みで遊びが好きだった、その上、面食いだから遂に美人の母に引っかゝってしまったのだと申します。
もちろん、それもございましょう。しかし、それだけではあゝまで永く母のような女を持ち切れるものではございません。わたくしに言わせますれば――これはわたくしがずっと育った後の観察ですけれども――父は母に妙なものをあさっていたのではないかと思います。母は浅墓ですけれども、その浅墓さが幾枚も重なり合っていて、剥く骨折さえ厭わなかったら、その芯に何かありそうにさえ見える女でございました。父はそれに引っかゝった。頭が鋭くて穿鑿症にまで意固地が募って、知性の過剰に苦しむ性質の男は、えて、このらっきょのような女に引っかゝるようです。殊にその上皮が美人であったなら尚更のことでしょう。賢夫人といわれている豊島の娘のような女の底は父のような男にはすぐ見破れます。却って浅墓なものに謎をつけて自分から引っかゝったのでしょう。父の悲劇の渦紋はまだこの先わたくしの身の上にかゝって波打ちますけれどもあまり筋がもつれて判らなくなるといけません。