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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

その正直な点では父に肖ているとて母はわたくしを信じもし、幾分怖れてもいました。その意味でまだ/\以前はわたくしは母に通じているものがあったと言えましょう。

ところが、葛岡と鰻屋で会って以来、わたくしは俄かに人が変ってしまいました。自分の中に一つの秘密の城が出来てしまって、自分は孤独でその中に立籠り、そして内側の自分は、その城の中から外側の自分を牽制し、操り、たとえ自分の身に済まぬことでも、その秘密の城を守ることの為めなら、その秘密の城の中で計画まれたことの遂行の為めなら、外側の自分をば骨は撓み折れ、筋の腱が引き千切れるまでも、思い通りに巧んで拵え、捻じ返しても使いに使い抜く残忍な意地を覚えてしまいました。そしてその試みの一つに思わず出たのが母への返答の所作でしたが、こうして母にその内実を穿き違えられてみると、穿き違えさして自分は却って笑壺に入る心地のするのは、たった一筋まだ残っていた母へのこころの通い路を自ら宣して断ち切ってしまうような感じがしてなりませんでした。

狡い母親ですが、母親はその狡さに於て却って単純なところがありました。自分は或る目的のため何か二重になった自分をしょびいて母親のその単純な狡さを逆に利用し、これからも多分自分をカムフラーヂしつづけるでしょう。