Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
と言って、上質な洋服の上衣や膝にかゝった巻煙草の灰を指で弾いて、帰り仕度をしかけましたが、しかし、わたくしに対する用事は忘れませんでした。内懐から手紙を出して、ちょっと差出人の名前を検めて、また懐へ入れて、
「お蝶さんは、F――学園の園芸手の葛岡という男をご存じですか」
と訊きました。
池上は、いよ/\番頭が要談に入るのかと不興気な顔を見せました。わたくしは、もう先程、庭で、どうでもなれと思った捨鉢の底から、暗く何とも知れない力に押し上げられ、われとしもなくぽん/\と結婚のことも、救けねばならない葛岡のことも鉄砲の二つ玉のように池上へ言ってしまったあとですから、いずれ、これに就ては何かわたくしの身の上に取って由々しい手応えが向って来るものとは覚悟をきわめていました。それ故にこそあとは却って運命に任したつもりで気持を楽々と遊ばせていたのですが、その手応えが、こうも即座に、しかも、あらぬ方から竹槍のように突出されて来るとは思いも寄りませんので、しばらくは呆れて番頭の顔とその手紙を入れた内懐の辺を見較べていますと、娘の詮ない遠慮深さに訊ね返して手間取るのももどかしいと思ったか嘉六は、むこうからさっさと説明しました。