Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
それではあまり身体に悪いとて、おきみが粥を作り匙を添えて持って行った。あんたはおきみに起されて寝起きの朦朧状態のまま、おきみの勧める粥の椀と匙を受取った。そのとき、無理に無い食気を起さすためか、それとも、おきみの厚意に対して愛想するつもりか、あんたは朦朧状態のまゝ、粥を匙で掬って口へ運ぶ毎に唄うように呟いた。
ひと匙、食べては ちちのため
ふた匙、食べては ははのため
そして覚束なく笑った」
池上はいつの間にか真剣な顔付になって話を進める――「あのとき、風もないのに、猫柳の花の萼は、ほろ/\と畳に落ちた。あんたは、見据える力の無い朦朧状態の眼ざしで、その萼の落ちるのを眺めながら、また、粥を匙で掬い、ゆっくりゆっくり呟くように唄った。
ひと匙、食べては ちちのため
ふた匙、食べては ははのため
そしてまた覚束なく笑った。
猫柳の花の萼は落ち尽して、銀の毛房は露き出しになった。小さい椀の粥はほゞ掬い食べられて、梨地の底が見えた。すると、あんたは『これでいゝの』と言って粥の道具をおきみに返すと『ご馳走さま』と言って、そのまゝ道端に捨てられた小狗のように、床にごろりと寝た。