Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
限りの魂と魂でいつまでもあられる気がする。想ってみると、いかなる現実の事情も、いかなる複雑な障害も、あの韻脈を絶ち得るほどの力のものはないのだ。
これに思い当ってから、僕はもう意地だの反抗だの、自我を立てるの、好みに徹するの、そんな労作は、この短い人世に取って無駄なあがきに思えて来たのだ。従って、それから胚胎して来る僕たちの結婚にも熱が無くなって来たのだ。ただ、念々に憧れて来たのは、あの男と女の底に潜んでいる不断の韻脈だ。蝶ちゃんあんたは、あんたが意識せずとも、それを持っていることは確だ。だが僕は――こゝまで考えて来ると、僕は言おうようない恐ろしさを感じて来るのだ。僕がもし、ひょっとアル中ででも即死して、もしこの蓮の糸が無かったら、こんなにも好きな蝶ちゃんをも永遠に見失い、暗い死の闇の中で右往左往して夢中で探し廻す自分の姿が今も眼に見えるようなのだ。従って、こりゃどうしても永生きして、蝶ちゃんと一緒にいて、蝶ちゃんによってその蓮の糸を抽き出して貰い、蝶ちゃんのそれにしっかりと結びつけといて貰い度いと必死に願うようになったのだ。
それにはやはりこの世の中の慣習では、結婚という形になって来るのだ。