Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
あれで何かをおまえさんに掴まれてない男の恰好って言えますか」
と言い放ったのちは、したり顔に、喫いさしの巻煙草を再び取上げて、しずかに煙の環を吹きました。
わたくしは母のみならず、人さまから、一たいこういう感違いをされる度びに、この頃では悲しいというより、人が悪くなって、却って何か楽しい気がするようになりました。いよ/\わたくしの身のまわりに殻が厚くなったせいでしょうか、それともいざとなったら世の中に一人ぽっちと覚悟がきまって来たせいでしょうか。
そこで、母のこの感違いを聞くと、とても面白くなって、つい、
「吹けよ 河風、あがれよ簾、中のお客の、顔みたや――」
と、鼻唄でまぜ返さずには措けないのを、どう止めようもありませんでした。さすがの母も、これにはむっとした様子で、
「どうも張り切ってしまって、手の附けようもないおまえさんになったね。じゃ、きょうはおっかさん、これで帰るから」
と、手に合うわたくしの身の廻りのものなどを風呂敷包にして提げて帰りました。
嘉六はまた母に、池上のわたくしに対する解放令を伝えたものか、母は帰りしなに、自宅に来ていたわたくし宛の手紙と葉書を安心して置いて帰りました。