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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

次いで、久し振りに星の潤んだ晩春の夜のそゞろ歩きは、いよ/\水の太い繋りをわたくしに確めさせました。更に、この盛り場の感覚の氾濫です。わたくしはその好もしさに身体が膨れ腫れるほど夜景の情趣を吸い取りました。凝滞していた気分は飛沫を揚げて流れ始めました。

わたくしに取って恐らく思想であるであろうところのこの気分は、流れる場合に、それはわたくしを生きて来させ実在の感じを与えもし、わたくしの全部を支配するのでありました。この事をあるとき、少し池上に話しますと、池上は「それは蝶ちゃんという原子の中の電子のようなものさ。動かなければ蝶ちゃんを成立たせない」しかし、池上は、こうも言いました。「だが、その電子は、まわりを廻っているものだ。それと同じ力で張り合って、気分をしてまわりを廻らしめている何物かゞある筈だ。それが蝶ちゃんの核心であるに違いない」

わたくしは、池上がまた捻ねくり屋さんの性質からわたくしに何ぞ勿体をつける癖の一つと見て、この話を相手にはしませんものゝ、少くとも、気分が電子のように動いていなければ原子のわたくしを成立たせず、たゞ、ぽかんとして、くさるばかりでなく、寮にいるときのような、どうでもいゝやという性なしの弾ね人形にすることだけは確であると認めないわけには行きませんでした。