Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
気がいたします。さればといって急いで歩き出すと、いまにも眼の前に泥田圃か肥料溜が、ぱかと口を開き、それにのめり落ちたが最後、奈落の底までも沈み溺れそうな気がいたします。
学園の遠足以外には田舎に出たことはなく、田舎の夜とては一層に不勝手なわたくしには、東京であれほど弾んだつもりの安宅先生説得の意気込みも、いつか、相撲の手だとて人から聞きました肩透しとやら叩き込みとやらを受けました形で、たゞしょんぼりと力抜けがするだけでした。いまから東京行の汽車でもあるなら、いっそ逃げて帰り度いくらいでございました。
咽喉に詰った痰を噎んで吐くような夜鳥の叫び声が横切りました。それから連想でもしてわたくしを興がらせ、慰めるつもりなのでしょう葛岡は、闇の中にもしるき黒い山影を透し眺めて、
「赤城山に出る天狗は団扇天狗というのだ。猟師の持つ鉄弾丸は惧れるが鉛弾丸は一向惧れないそうだ。このまえ来たとき土地の人の話だった」
と言いました。わたくしは擬勢を張って、
「そんな話、いくらしたってちっとも恐かありやしない。たんとなさいよ」
と、たしなめながらも、ます/\気に喰わない葛岡の背後にぴったり寄り添って歩かないわけには行きませんです。