Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
蜜蜂よ、蜜蜂よ、
月をも日をも飛び越え、
奥の奥なる空に往ゆき通い
神のいぶきを汝が背に
いのちの香油を、蜜蜂よ、やよ、
いとしき、わが子に。
蜜蜂も動かされて、いのちの香油を持って来ます。母は丹精籠めて息子の骨の身体に香油を塗り籠めます。前より美しく勇ましい英雄青年レミンカイネンが再誕して来ます。」
先生は、これを話したのち、こう言いました。
「この物語をただ北の雪空の下に生れた美しい虚妄の譚とばかり思っていたのは間違いでした。思い返してみれば、この頃の私のために作られた譚でした。こどもを生んだことのない、ひとり身の私は、私自身、母であって、また子であります。母なる私は、子なる私のちりぢりばら/\になった晶玉の骨をみて、傷ましい思いに胸は潰れますが、決して諦めはしません。縋れるなら太陽にも、頼めるなら鍛冶の名工にも駆けつけて、その骨を元の形に仕直そうと意気込みます。幸いそれは、私自身の精神胎内の出来事ですから、レミンカイネンの骨を母親が冥府の河底より掬い纏めたよりも遥に纏め易くあります。たゞ、この美しい晶玉になって、照らしよくなった骨も、それ自体、氷よりも冷たく鉄よりも硬くなっているのに、いのちの息吹き返さすその香油が何物であるか何処にあるのか、私の中なる母は、いま一生懸命考えているところです。