Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「ロマンチックだね」
と言って帽子を振り/\階段を降りて行きました。
「でん、いや、でん、つるんでん、ちんでん、いや、ちんちんちんでん――」
夕月の三日月の下の河岸の家から地太い男の声で浄瑠璃の口三味線が聞えています。
千本格子の表格子をそっと開けて、さすがわたくしは敷居の端の方から片足を玄関の土間へ忍びやかに踏入れました。それでも思い切って「たゞいま」という私の声に応じて障子を開けて顔を出したのは池上の番頭の嘉六でした。わたくしの「おっかさんは」という言葉と嘉六の「蝶子さんですな、こりゃ驚いた」という言葉と鉢合せします。
家の中へ上ってみると、誰もいないようで、母の居間の長火鉢の前の客座布団の傍には夕刊新聞の上に浄瑠璃本が散らばっています。火鉢の鉄瓶には酒徳利がつけてあります。わたくしは嘉六が着ている丹前が母のものであると気付くと「成程ね」と、わたくしが半ヵ月ほど留守中のわが家の沿革をほゞ覚りました。
「ま、そこへ、お坐りなさいまし」
嘉六は自分は客座布団へ、わたくしを母の座布団の上へ長火鉢を距てゝ坐らせ、落付くとすぐさま、
「一たい、今まで何処へいってらしたんです。