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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

わたくしは声を挙げて笑ってしまいましたが、ふと、この番頭のすることを考えると、わたくし始め、少くとも二三人の生涯に影響する相談事の最中を、途中で差控えて、悠々、この所作をする平気さには不審を起さずにはいられませんでした。

この番頭は鈍感なのだろうか横着なのだろうか。そういえば嘗てわたくしと池上の縁談を取纏める方向に入れていた力の入れ方も、いま急にへん代えして破却に向けて入れようとする力も同じく従容としたものであります。こう見て来ますと、この中老の番頭には危機が危機でなく安泰が安泰でなく、何事も両極が磅して、それでどっかに中心を取って行く、妙に粘りのある渾沌が見出されて来ます。わたくしはこの番頭にはじめて興味ある関心を持ち出しまして、試に、

「いくら耳だけ、福耳にしたって、眼尻に泣黒子があっちゃあ駄目じゃないの」

と突き崩してみます。すると彼は、

「人の福の為めに大骨ばかり折って、自分の為にはまず福運のある方じゃござんせんな」

と苦笑して、漸く耳朶のラヂオ体操の手を収めました。

彼は台所から飯櫃を持出して来て、茶漬を食べながら老女中の島の急死のことを話すのにも一向調子を変えませんでした。