Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

六十七になるこの老女は、わたくしが無断家出したのを矢張り心配して、近くの社寺へ祈祷を頼みに行ったりしていたそうです。そのうち少し気がおかしくなり、彼女がこの家へ来立てに飼いつけて二三年で姿を見失った赤砂糖色の小猫のことを頻りに言い出しました。「赤が帰って来たようだ」「赤の鈴の音が聞える」そう呟いてまるで小猫の姿が見えでもしたように呼び声を立てゝ追い廻す所作などもあったと言います。母も嘉六もなるべく部屋に閉じ籠めて静にするよう気を配っていました。

彼女が水に嵌ったのは、そのとき誰も見たものはなかったけれども察するところ、赤の鈴の音が台所の芥掃き口の開いている河岸の石畳の方にでも聞えたのではあるまいかということです。彼女は「そのまぼろしを追ってでも河水に踏み込んでしまったのでしょう」と。

「それから、ばあさんの溺死の死骸がですな、大川へ流れ出て、潮の加減で向う側の深川の竪川堀へ流れ込みそこで発見されたんです。その竪川河岸にはあの婆さんが若いとき一時一緒になって喧嘩して訣れた男が今は錺職の老人になって住んでるそうです、あんたのお母さんの談によりますとね。