Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「罪な冗談は、およしなさいよ。いくら乞食だって可哀そうじゃありませんか」
と芸者はたしなめました。客は、
「どうも、珍だったよ、今の形は――」
と大口開いて笑いました。けれども何となく気が済まないらしく、
「おい、御夫婦の災害見舞に、五十銭銀貨でも一つはずんで遣りな」
と芸者に命じました。芸者は一人の恵み手からは一日一回一銭しか受取らないきめしきの乞食である旨を客に説明します。
「そいつは不思議に感心だ」
客は少し心を動かしたようでした。
「したら、どうすりゃ、やっこさんたちを宥めてやれるんだい」
と芸者に訊きます。芸者もこれにはちょっと当惑した様子でしたが、
「まあ、何とか、声でもかけておやんなすったら」
と智恵を宛がいました。そこで客は、道行きの姿に向って、
「おい、女房を可愛がってやんな」
と叫びました。男乞食は聞えたものか、こくり/\と首で諾きました。
「女房を可愛がるなんて、自分じゃ出来もしない芸の癖に」
と芸者は客を小突いて笑いました。「違いねえ」と客も苦笑しましたが、一件落着に及んだような元通りの顔になって、
「教わった唄は、それから何とかいったな――」