Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
と、帯の間から蟇口を抜き出し、一銭銅貨を見付け出すと、急いで掌に落し込み、左右の手の傘と花とで駆ける身体の調子を取る間もなく乱れ腰でその場を逃れ去って行きます。けれども十間ほども離れると、今度は再び、そっと振返ってみる娘の表情には秘密な魅惑を盗み視るような狡さを泛べております。いくらよごれていても緊密に結ばれた男女の形には、若い身空の肉情に疼き入る何物かゞあるのでございましょう。
夫婦乞食がめい/\に一銭を墨守する規律に就てはいろ/\の逸話があります。ある人が生物学者が生物の習性を調べるように試しに男乞食の掌の中に一銭銅貨を二個入れてやってみたそうです。すると男乞食は欲しくはあるし受取り兼ねるという風で、ぶつ/\言いながら女乞食の眼の前にも差出して二人でしばらく眺めていましたが、やがて残念そうにその人に押し返したそうです。そこでその人はこれを二つに分け二人の乞食の掌に落してやりますと、はじめて納得が行ったように二人はにやりと笑ったそうです。
食べものに就ても二人は仲好くしていました。一人が自分の貰い銭の中から何か買い求めて来ますと、半分は必ずベターハーフに分けます。