Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
たんとはいけない。ひと雫、ふた雫ほどの諸行無常は現在やゝ乾き気味になった心の謎の境涯を持ち続けるためにも湿し薬になるかも知れない。わたくしは、材木店のご新造の身の上の不幸な事情をいくらかでも窺い知りたくて土橋の方へ向いました。
伝馬船なら漸く二艘だけすり違えられる枝川であります。川は冬涸れて、ところ/″\に蘆荻を腐らした泥洲の影を刀身の錆に見せながら、残りの水は月光そのまゝの色を射返して、田畑の中をほとんど一本筋に南から北へ貫いております。もとこの枝川は染物を晒したばかりでなく北に当る東京から南の多那川への曳船の河筋にも使ったので、両側の堤は、平に踏み慣らされ、満潮にやっと溢れを防ぐだけの高さで川に沿うております。それゆえ、川に架け渡した小橋は洪水のときを慮って橋礎から別誂えに高く築いたその上にも水の届かないよう高く聳えさして架け渡してあるので、そこだけ海亀の背でも蟠っているかのように平野の景色の中に眼立ちます。橋には、多那川から水を引いて来る川上に当って夫婦乞食の住む藍染橋が一つ。それよりは川下に当る材木店前の土橋が一つ。あとは用の都度架けたり外したりする板橋だけに眼に止まりません。