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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

わたくしは女乞食諸共に一体となり、たゞ、女臭いことを仕済ましているいしくも巧んでしているという感じだけが頻りに宙に味われて来て、女なるものに対する極度な愍れみと厭わしさと面白さは、もちゃもちゃと頭の中で絡み合い杵搗かれ、痛痒いとも、哀れになつかしいとも何とも言いようのない妙な感じに捉われるのでした。

酒呑みのわたくしの父は、酒の肴に佐賀の名産のガン漬けというのをよく取り寄せて食べていました。有明の海の泥に匍う小蟹を生けるまゝ臼で搗き潰し、強い塩とたくさんの唐辛子を加えて馴れさす一種の塩辛です。わたくしは老女中のお島からその作り方を聞き、何という残忍な料理法だろう。またその一箸を嘗めさせられてみて、何という切なくまずい味だろうと吐出したことがあります。だが、ほんとの味はうまいのだと島は言いました。いま、ふとそれを思い起し、わたくしの脳味噌がこれ等の感情の杵搗き合いで、ガン漬けになり、それを自分の心が味い〆めているように思えてなりません。

食品のガン漬を指して島は、この味を一たん知ったら、おとうさまのように口から離されなくなるのですよと言いました。いま、わたくしは自分の胸の中のガン漬の味を知り出して来そうなので、これが癖になったら胸の想いから離されなくなるのではないかと危うい気がいたします。