Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
判るだろう、そこが莫迦なところなのだなと、少しおかしくなりながら、知らん顔をして、もう彼も行ってしまっただろうと思う時分に、お秀は簡易服の裾を急に後から捲り上げられました。お秀は「きゃっ」といって桟橋へぺたりと坐りました。途端にぱた/\と土手の上へ逃げ上る文吉の足音が聞えます。お秀はこの足音を聞きながら眼をぱち/\さして怯えが薄らぐ下からは、今まで異性に対して孩子のように無心だった文吉に今や何かの色彩が点ぜられ出したのではないかと懸念されました。しかしその懸念は何となく賑かなものでした。お秀は立上って振り返りざま手を振り上げてみせます。
「なんていうことするの。よし、あした警察へ言ってこの土地を追っ払ってやるから――」
土手の上から文吉が首を伸して顔を振り/\言いました。
「さっきの仇打だよ」
お秀はそのいたずらっぽいだけの文吉の声音にまた今の自分の感性が独り合点だったことを知って詰らなく思いながら、川の方へ向き直りました。
土手の後の店の前で文吉が鈍い声で怒鳴っています。
「ばばあ、ばばあ」
お秀の母親が、
「また、ばばあかい。困ったものだね。人さまの母親はばばあと言うんじゃない。