Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
但、彼には永年多くの種類の人間との接触から得た経験的智識があり、それと練磨した現実を見破る犀利な眼光が備えられていて、客から与えられる話題のテーマに就て底の底を語り、コツの中のコツを掴み出して、返し与えるのに何の手間暇は要らなかった。客たちは後から骨身も融けるほど打ち解けさせられた中に人情の機微を学ばせられ、世路に勇み立つ底力を与えられた。彼はこうして客の旦那衆とは普通対等の位で向き合うけれども、利目々々にはひそかに身分を守った。
客がふと便所へでも立つらしい場合は、彼は「おはゞかりですか、はい/\」と言って伴って行き、便所の戸を開けて客を中へ送り込むところから客の出て来るのを待ち、一杓の水と懐から新しい切り立ての手拭とを用意して戸の外に立っている身のこなしには、無雑作と思えるほど嫌味のない中に気をつけてみれば五分の隙も見出せなかった。それでダンスに浮身をすほどの若い芸者たちさえ「大師匠にはどこというところも無いが、あゝいうところはやっぱり惚れ/\するわね」と言った。
そういう褒言葉の噂を聞くと鯉丈は肩を落して溜息をつき「そりゃそうだろうよ、おれはあのときいつでも客のために命がけで立って番をしているのだからな」