Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあらば
生あらば
豊島 与志雄
Lesen Sie 生あらば (せいあらば) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.046 Zeichen · 47 Bildschirme
」
「家に帰るのさ。」
「そうか。」そう云って川部は彼の顔を覗き込んだ。「では僕も一緒に其処まで歩こう。」
川部は彼と学校の同級だった。そして其後も可なり親しく交っていた。学校時代からずぼらで勝手な熱ばかり吹いていた彼は、いつの間にかしっかりした新進批評家として前途を文壇から嘱目されるようになっていた。彼の顔には何時も熱のある表情があった。そして何時も何かしら興奮していた。興奮のうちに彼の精神が生々と育っていった。
「おいどうだい、此の頃は。」と川部は云った。
「何が。」
「光子さんの病気さ。」
「ああ少しはいいようだし、医者もいいように云っているが、まださっぱりはっきりしないんだ。」
「なに医者の云うことなんか、当になるもんか。ただ君の実感が、君が肉眼で見た所が一番本当だよ。」
「そうかも知れない。……然し一体肺結核という病気は癒るものだろうかね。」
「なに癒らないことがあるものか。いくらでもその例がある。然しあの病気の恢復するか否かは恐らく運命だろうね。医学の方でも種々な新薬が出たが、要するにケレオソートかゴヤコール剤にすぎないと云うじゃないか。ツベルクリンの注射だって人の体質に依ると云うじゃないか。