Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいとしとのきろく

生と死との記録

豊島 与志雄

Lesen Sie 生と死との記録 (せいとしとのきろく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.961 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた暫く家で寝んでいらしたら。」と芳子は云った。

「お前こそ眠ったがいいよ。此処で眠ってごらん。」

然しそれは殆んど出来ないことだった。家に帰るにも芳子はその身体では危険だった。で晩になって芳子は眠ることにして、私は少し身体を休めに家に帰った。

常が一人で何か用をしていた。私は座敷の方に蒲団を敷かして寝た。眠れなかった。眼を開いていると、柱にはった白紙で包んだ禁厭の札が眼についた。

前月の十四日に私達はその家に引越して来たのであった。それまでのH町の家は日当りの悪い陰気な家だったが、此度のS町の家は、日当りのいいぱっと明るい二階家だった。殆んど全快した堯は、次第に丈夫になっていったのである。「此度の家は子供にいい家だ。」と私達は云った。然し、方向が悪かないかと後から親戚の人々が云い出した。第一に引越した方向が鬼門に当りはしないか。第二に、上の便所はいいが、下の便所が家の鬼門に当りはしないか。A氏は昔の大きい円い磁石を持って来られた。よく調べてみると、第一第二とも、鬼門より大分北に外れていた。それでもというので、R叔父は、鎮宅霊符という禁厭の札を作って持って来て下すった。