Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいぜんしんごのこと

生前身後の事

中里 介山

Lesen Sie 生前身後の事 (せいぜんしんごのこと) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.804 Zeichen · 83 Bildschirme

Aozora Bunko

のでございます。

で其紀念興行(六月)を催すに何よりも吐胸を突いて来るものはお作大菩薩峠の事でございます。

私は過去の一切に就いてお心にそまなかつた事を更めて陳謝いたします。

どうぞ私共の苦闘十年にめでゝお作上演をお許容下さいまし。

只管に願上ます。

これまでの行がかり上いろ/\な方面への責任等は総べてを私が背負ひまして御迷惑はかけますまひ、一度拝眉心からお願したいと存じて居ります。

頓首

三月十一日早朝

沢田正二郎

この手紙の表書きには本所区向島須崎町八九番地とあって日附は三月十一日になっているが、年号はちょっとわからない、兎に角我輩が早稲田鶴巻町にいる時分使に持たせてよこしたので郵便ではなかったからスタンプもない、これを今T君に筆記をして貰っている今日、即ち昭和九年の六月十八日にはじめて封を切って読み下して見ると感慨無量なるものがある。

我輩はこれほどに切なる沢田君の手紙をも封を切らずに十年間も放り出して置くような人間である、如何に自分が無情漢であるかということの証拠になるかもしれないが、この無情は持って生れた我輩の一つの特質なるを如何ともする