Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

さあさあお返し、さあさあお返し! ……アッハッハッハッ、泣くことはないよ。ナーニお前を叱ってはいない。やはりお前は俺には可愛い。お泣きでないよ、お泣きでないよ! ――とこんなように嚇しつ賺しつ、今夜はどうでもお菊をとらえて、云って云って云ってやらなければならない。……それにしても帰りが遅いではないか! 芝居は夕方にハネたはずだのに。……酔った酔った俺は酔った!」

庭をグルグルと歩きながら、酔っているらしい勘右衛門が、女房のお菊の芝居帰りの、あまりに遅いのに心を苛立て、門の内側で相手もないのに、そこに女房がいるかのように、怒鳴ったり喚いたりしているのであった。

(なるほど、これではよくないことが、松倉屋の家庭へ起こるかもしれない)

門外に佇んで勘右衛門の独語を、聞くともなしに聞いた宮川茅野雄は、こう思わざるを得なかった。

尚も勘右衛門は門の内側で、酔ったあまりに思慮を失って、止める者のないのを幸いにして、怒鳴り声をつづけているようであったが、茅野雄には興味がなくなったので、怒鳴り声を聞きすてて歩き出した。

(抜け荷買いをした人間だそうだ。今でこそ三卿のご用達などと、上品に構えてはいるけれど、一つ間違うと兇暴になって何をやり出すかわからないというのが、松倉屋勘右衛門の本性らしい)