Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

右することも出来なければ、左することも出来ないというのが、現在の弦四郎の心持であった。

一方宮川茅野雄においては、弦四郎に対して咎めたいことが、いろいろ心にわだかまっていた。たとえば自分は巫女の占った、「山岳へおいでなさりませ、何か得られるでござりましょう」と云う、その占いを実現しようとして、飛騨の山の中へ来たのでもないのに、「醍醐弦四郎お約束通り、貴殿を付け狙い致してござる」などと、あのような矢文を射てよこして、こちらの心を不安にさせたのは、不届きではないかと咎めもしたければ、あの巫女の占った「何か」なるものを、弦四郎は知っているらしいので、かえって訊ねて見たいとも思った。そうして自分がこのようにして、飛騨の山の中へ入り込んで来たのは、丹生川平という郷にいる、宮川覚明という叔父の一族と、邂逅しようがためなのであると、そういうことも告げたかった。

が、しかしそれより茅野雄としては、現在弦四郎が小脇に抱えている、姫君のように美しく若い、気絶をしている乙女の身分と、何故にそういう乙女を攫って、どこへ行くのか何をしようとするのかを、詰問したい衝動に猟り立てられた。