Japanische Klassiker mit Furigana
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たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Lesen Sie 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.957 Zeichen · 57 Bildschirme
その切れの長いそして細い眼に生命の余裕を示していた。
「然し、」と重夫は云った、「お父さんのは早く起きられるというよりも眠れないから仕方なしにお起きになるんではないでしょうか。」
「さあねえ、私にはよくお眠りになるように思えるんですがね。何かそんなことを仰言っていられたことがありますか。」
「別に何にも云われはしませんが……。いつでしたか私が夜遅くまで起きて書物を読んでいまして、それから寝ようと思って縁側を通る時に、まだ寝ないのかって室の中から声をおかけになったことがあります。そんなことがよくあるんです。何だかお父さんはいつでも眼が覚めていらるるようなんですが……。」
「それは眼敏くていらるる故なんでしょうよ。元からそうでしたよ。それに年を取って来ると猶更そうなるものです。」
「然しまだ四十の上を幾つも越してはいられないじゃありませんか。」
「年齢を云えばそうですがね、四十の上になると自分では随分長く生きたような気がするものですよ。」
「ですが……そう、つい先達てのことですよ。私が友達と日曜に朝早くから江の島の方へ遊びに行ったことがありましたでしょう。あの朝のことです。