Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たはらしのはんざい

田原氏の犯罪

豊島 与志雄

Lesen Sie 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.957 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

」

それで巡査はほっと安心したらしく、ポケットから手帳を取り出して、一応田原さんの名前とそれから徳蔵の住所氏名とを書き留めた。そして、「お邪魔でした。」と云い残して出て行った。

田原さんは暫くつっ立ったまま徳蔵の姿を見守っていたが、やがて女中に命じて彼を良助の室に寝かさせようとした。徳蔵は黙って女中の後に随って庭の方に廻ったが、其処の縁側からどうしても上ろうとしなかった。

「此処でいいんだ!」と彼は女中に怒鳴りつけた。

仕方がないので縁側に蓆を敷いてやると、彼はその上にすぐごろりと寝てしまった。そして差出されたコップの水をごくりと一口のんで、そのまま大きい鼾をかいて眠ってしまった。

その騒ぎが静まると、家の中は急にまた蒸し暑く感ぜられて来た。じじじじと何処かで蝉の鳴く声がした。

田原さんはその暑さに聞き入るようにして茶の間に坐っていたが、時々立っていって徳蔵の方を覗いた。徳蔵は胸をはだけ、枕から頭を滑らして喉仏を露わし、手足を伸べて、ぐっすり寝込んでいた。その全身をぐたりと縁側の上に托した寝姿は、如何にも暑苦しかった。庭には木の葉が強い日光にぎらぎら輝いていた。