Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
でんえんのまぼろし
田園の幻
豊島 与志雄
Lesen Sie 田園の幻 (でんえんのまぼろし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.053 Zeichen · 17 Bildschirme
きらきらした銀鱗が見える。網の袋を繰って、魚は河原に放り出される。そのぴちぴちしたやつを、私と宗太郎が魚籠に拾い込むのである。ハヤ、フナ、ハゼ、ドンコ、時には、アユ、ナマズ……雑多なものが捕れる。
この投網の夜打ちは、なかなか楽しい。河水は方々の堰で水田へ引いてあるから、河原は広く、玉石のところもあれば砂のところもあり、青草が生えてるところもある。足袋はだしで駆け廻っても躓くことはない。さらさらと流れてる清い瀬には、たくさんの魚が泳いでいそうな気配があるし、夜気も水も同じような温度で、肌寒さは感じない。そして初秋の空は、星を鏤ばめてあくまでも高い。ただ、物陰だけがちと薄気味わるい。竹籔の陰、灌木の陰、木立の根本の深い淵陰、へんに闇の色が澱んで、何かが潜んでいそうだ。人間とは縁の遠い未知の、怪しい奴である。其奴に対しては、投網も、何の役にも立たない。龕燈の光りも、僅かな範囲にしか届かない。だが、そうした物陰もこの辺には少く、河原や水面は清く爽かに拡がっている。
「今晩は不漁だな。」宗吉は呟いて、網をじゃぶじゃぶ洗った。
まったく、その晩は獲物が少なかった。