Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆふいんこう

由布院行

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 由布院行 (ゆふいんこう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.779 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

六千坪の草原は半ば以上拓かれて、趣のある日本式の庭園になっていた。そしてその中に小さく建っている茅葺の家まで、庭園の一つの景物となっているのにも、伯父らしい用意が偲ばれた。

自動車の音を聞いて、伯父は素肌に帷子の袖無しを一枚着たままでとび出して来た。三年ぶりなので、さすが白髪は目立っていたが、思ったよりも元気であった。

一わたり東京の話をきいて、伯父は如何にも満足らしく喜んでくれた。実は卒業した年の四月ちょっと忙しかったもので、暫く手紙を出さなかったところが、落第したために通知が出来なかったものと合点して、「誰でも間違いはあるものだから、もし落第なんかしたのでも気を落さないで」などと、慰めの手紙を寄してくれたことがあったのであるが、こんな所で、山と雲だけを眺めている伯父の身にとっては、もっともな心づかいであったのである。

東京の忙しい生活に追われていた自分は、久しぶりで昔の生活に返ったような気がした。小川をとり入れた小さい池も、伯父が自分で彫ったらしい梅里庵という篆字の額も、すべての風物が珍しかった。帆足万里の軸の前に坐って、伯父は今の生活の心安さを色々と話してくれた。