Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えのかなしみ

画の悲み

国木田 独歩

Lesen Sie 画の悲み (えのかなしみ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.772 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

二枚の大画は言わずとも志村の作と自分の作。

一見自分は先ず荒胆を抜かれてしまった。志村の画題はコロンブスの肖像ならんとは! しかもチョークで書いてある。元来学校では鉛筆画ばかりで、チョーク画は教えない。自分もチョークで画くなど思いもつかんことであるから、画の善悪はともかく、先ずこの一事で自分は驚いてしまった。その上ならず、馬の頭と髭髯面を被う堂々たるコロンブスの肖像とは、一見まるで比べ者にならんのである。かつ鉛筆の色はどんなに巧みに書いても到底チョークの色には及ばない。画題といい色彩といい、自分のは要するに少年が書いた画、志村のは本物である。技術の巧拙は問う処でない、掲げて以て衆人の展覧に供すべき製作としては、いかに我慢強い自分も自分の方が佳いとは言えなかった。さなきだに志村崇拝の連中は、これを見て歓呼している。「馬も佳いがコロンブスは如何だ!」などいう声があっちでもこっちでもする。

自分は学校の門を走り出た。そして家には帰らず、直ぐ田甫へ出た。止めようと思うても涙が止まらない。口惜いやら情けないやら、前後夢中で川の岸まで走って、川原の草の中に打倒れてしまった。