Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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がひつにいきるごじゅうねん

画筆に生きる五十年

上村 松園

Lesen Sie 画筆に生きる五十年 (がひつにいきるごじゅうねん) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.936 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

傍の人に、あなたの方がうまいなどと、ひやかされたことがあります。若い時から、折々に描きためた、こうした縮図本が、今私の手許に一山ほどになっています。苦心して見つけ、手を労して写した古画など、二十年、三十年のものでも、判然と今も目に浮かびます。けれど、その後便利な世の中になって、写真版などで見たものは、その時はよく覚えていても、直にすっかり忘れてしまいます。この縮図本を繰る毎に、その頃のさまざまな思い出がなつかしく思い出され、私には一番大切なものになりました。

後年のことですが、私の家の近くに火事が起こりました。一時は風下になり、もう危いから荷物を出すようにといわれました。この家は自分で建てたものだが、まあ焼けるならそれも仕方がない。さて、何か大事なものをと思った瞬間、頭に浮かんだのはあの縮図本でした。そうそう、あれあれと大風呂敷を持って二階に上がり、縮図本をすっかり包みました。そのうちに風向きが変わり、もう心配はないというので、三階に上がり、男達のいる屋根にのぼり、消防につとめる様を、こういう光景は滅多に見られるものではないと、そんな余裕も出てよくよく観察したものでした。