Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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がぼう

画舫

豊島 与志雄

Lesen Sie 画舫 (がぼう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.863 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

「初陽台でございました。」

「初陽台……。」

秀梅はそう繰返して、じっと李景雲の顔を眺めました。

「覚えていますか。」

「はい。」

李景雲はまた顔を真赤に染めました。

秀梅はそれきり口を噤んで、眼をそらしました。静まり返った湖水の面は、青空を映し、午後の陽光を孕んで、生き物のように輝いていました。

食器の類を取りまとめていた※香に、秀梅はきっぱりいいつけました。

「わたしはも少し遊んでゆくから、お前さんは先に帰って晩のお料理の仕度をみてやりなさい。」

そうして、※香を先に帰しまして、秀梅はまた舟を少し出させました。卓子の上には、茶菓が残されていました。その蓮の実の菓子を彼女は一つつまんで、真白な小さな歯先でかじりながら、右手の方、初陽台のある山の峰を眺めました。李景雲は静かに舟を漕ぎました。

こうしたことは、陳家の夫人としては、少し我儘すぎる行いでありました。殊に、まだ三十五六歳ほどの若い美しい未亡人としては、そうでありました。けれども彼女には元来、世の中のことに無頓着な一面が少しくありました。

陳氏が亡くなったのは五年前のことですが、秀梅はずっと子供達相手に暮してきました。