Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちくけんだん
畜犬談
Lesen Sie 畜犬談 (ちくけんだん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.173 Zeichen · 24 Bildschirme
私だからこそ、これに菓子を与え、おかゆを作り、荒い言葉一つかけるではなし、腫れものにさわるように鄭重にもてなしてあげたのだ。ほかの人だったら、足蹴にして追い散らしてしまったにちがいない。私のそんな親切なもてなしも、内実は、犬に対する愛情からではなく、犬に対する先天的な憎悪と恐怖から発した老獪な駈け引きにすぎないのであるが、けれども私のおかげで、このポチは、毛並もととのい、どうやら一人まえの男の犬に成長することを得たのではないか。私は恩を売る気はもうとうないけれども、少しは私たちにも何か楽しみを与えてくれてもよさそうに思われるのであるが、やはり捨犬はだめなものである。大めし食って、食後の運動のつもりであろうか、下駄をおもちゃにして無残に噛み破り、庭に干してある洗濯物を要らぬ世話して引きずりおろし、泥まみれにする。
「こういう冗談はしないでおくれ。じつに、困るのだ。誰が君に、こんなことをしてくれとたのみましたか?」
と、私は、内に針を含んだ言葉を、精いっぱい優しく、いや味をきかせて言ってやることもあるのだが、犬は、きょろりと眼を動かし、いや味を言い聞かせている当の私にじゃれかかる。