Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
。」
彼は太い煙管で煙草をすぱすぱとくゆらしながら澄まし込んでいるので、わたしは失望しました。さびしく衰えた古い宿場で、暮秋の寒い雨が小歇みなしに降っている夕、深山の奥に久しく住んでいた男から何かの怪しい物がたりを聞き出そうとした、その期待は見事に裏切られてしまったのです。それでも私は強請るようにしつこく訊きました。
「しかし五年もそんな山奥にいては、一度や二度はなにか変ったこともあったでしょう。いや、お前さん方は馴れているから何とも思わなくっても、ほかの者が聞いたら珍らしいことや、不思議なことが……。」
「さあ。」と、かれは粗朶の煙りが眼にしみたように眉を皺めました。「なるほど考えてみると、長いあいだに一度や二度は変ったこともありましたよ。そのなかでもたった一度、なんだか判らずに薄気味の悪かったことがありました。なに、その時は別になんとも思わなかったのですが、あとで考えるとなんだか気味がよくありませんでした。あれはどういうわけですかね。」
かれは重兵衛という男で、そのころ六つの太吉という男の児と二人ぎりで、木曽の山奥の杣小屋にさびしく暮らしていました。