Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
勿論、売るといったところで買い手もなく、さりとて紙屑屋へ売るのも何だか惜しいような気がするので、保存するという意味でもなしに自然保存されて、今日まで無事であったというわけだが、古つづらの底に押し込まれたままで誰も読んだ者もなかったのを、さきごろの土用干しの時に、僕が測らず発見したのだ。」
「それでも二足三文で紙屑屋なんぞに売られてしまわなくって好かったね。今日になってみれば頗る貴重な書き物が維新当時にみんな反古にされてしまったからね。」と、わたしはところどころに虫くいのある古写本をながめながら言った。
「なに、それほど貴重な物ではないに決まっているがね。君はそんなものに趣味を持っているようだから、まあ読んでみて、何か面白いことでもあったら僕にも話してくれたまえ。」
こう言って倉沢は雨のなかを出て行った。かれのいう通り、わたしは若いくせにこんなものに趣味をもっていて、東京にいるあいだも本郷や神田の古本屋あさりをしているので、一種の好奇心も手伝ってすぐにその古本をひき寄せて見ると、なるほど二百年も前のものかも知れない。黴臭いような紙の匂いが何だか昔なつかしいようにも感じられた。