Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
ただ不思議なのは、その首の切口から血のしたたっていないことであるが、それは決して土人形の首ではなく、たしかに人間の生首である。番人らは一応その首をあらためた上で、ふたたび元の風呂敷につつみ、さらにその首の持参者の詮議に取りかかった。
「おまえは一体どこの者だ。」
「本所の者でござります。」
「武家奉公をする者か。」
それからそれへと厳重の詮議に対して、中間はふるえながら答えた。かれはまだ江戸馴れない者であるらしく、殊に異常の恐怖に襲われて半分は酔った人のようになっていたが、それでも尋ねられることに対しては皆、ひと通りの答弁をしたのである。彼は本所の御米蔵のそばに小屋敷を持っている稲城八太郎の奉公人で、その名を伊平といい、上総の八幡在から三月前に出て来た者であった。したがって、江戸の勝手も方角もまだよく判らない。きょうは主人の言いつけで、湯島の親類へ七夕に供える西瓜を持ってゆく途中、道をあやまって御徒町の方角へ迷い込んで来たものであるということが判った。
「湯島の屋敷へは今日はじめて参るものか。」と、番人は訊いた。
「いえ、きょうでもう四度目でござりますから、なんぼ江戸馴れないと申しても、道に迷う筈はないのでござりますが……。