Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
鐘ヶ淵
一
I君は語る。
僕の友人に大原というのがいる。現今は北海道の方へ行って、さかんに罐詰事業をやっているが、お父さんの代までは、旧幕臣で、当主の名は右之助ということになっていた。遠いむかしは右馬之助といったのだそうであるが、何かの事情で馬の字を省いて、単に右之助ということになって、代々の当主は右之助と呼ばれていた。ところで、今から六代前の大原右之助という人は徳川八代将軍吉宗に仕えていたが、その時にこういう一つの出来事があったといって、家の記録に書き残されている。由来、諸家の系図とか記録とか伝説とかいうものは、かなり疑わしいものが多いから、これも確かにほんとうかどうかは受け合われないが、ともかくも大原の家では真実の記録として子々孫々に伝えている。それを当代の大原君がかつて話してくれたので、僕は今その受け売りをするわけであるから、多少の聞き違いがあるかも知れない。その話は大体こうである。
享保十一年に八代将軍吉宗は小金ヶ原で狩をしている。やはりその年のことであるというが、将軍の隅田川御成があった。僕も遠い昔のことはよく知らないが、二代将軍の頃には隅田川の堤を鷹狩の場所と定められて、そこには将軍の休息所として隅田川御殿というものが作られていたそうである。