Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぎわく
疑惑
Lesen Sie 疑惑 (ぎわく) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.341 Zeichen · 25 Bildschirme
私はその苦しみの中で、せめてはN家との縁談を断ってでも、幾分一身を潔くしようと決心したのでございます。
ところがいよいよその運びをつけると云う段になりますと、折角の私の決心は未練にもまた鈍り出しました。何しろ近々結婚式を挙げようと云う間際になって、突然破談にしたいと申すのでございますから、あの大地震の時に私が妻を殺害した顛末は元より、これまでの私の苦しい心中も一切打ち明けなければなりますまい。それが小心な私には、いざと云う場合に立ち至ると、いかに自ら鞭撻しても、断行する勇気が出なかったのでございます。私は何度となく腑甲斐ない私自身を責めました。が、徒に責めるばかりで、何一つ然るべき処置も取らない内に、残暑はまた朝寒に移り変って、とうとう所謂華燭の典を挙げる日も、目前に迫ったではございませんか。
私はもうその頃には、だれとも滅多に口を利かないほど、沈み切った人間になって居りました。結婚を延期したらと注意した同僚も、一人や二人ではございません。医者に見て貰ったらと云う忠告も、三度まで校長から受けました。が、当時の私にはそう云う親切な言葉の手前、外見だけでも健康を顧慮しようと云う気力さえすでになかったのでございます。