Japanische Klassiker mit Furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Lesen Sie 痀女抄録 (くじょしょうろく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.578 Zeichen · 65 Bildschirme
背を引け目にするどころか、てんで頓着しているふうも見えない。ここに、母親の纔かな安堵があった。いつも、おどけたことを言っては人を笑わせてばかりいるので、近所では「お寿女ちゃんは面白い娘だ」と評判になっていた。
まったく寿女はおどけたところのある娘であった。
顔馴染みの客の中には、笑わせられてひっきりがつかず、いつともなく、この小店先きに腰をおろして、お茶の馳走になることがよくある。長居を詫びて帰りがけに、つい気が引けてタワシだの目笊のような小物を余分に買いこんでしまうのであった。
仕立物のことで出入りをしている内儀さんなども、こんなふうに言っていた。
「あたりやさんへ行くのはいいが、どうも根が生えっちまうんでねえ」
母親の眼からみると寿女は人懐っこい子で、誰れかれの別なく切りがなかった。おもてを近所の娘たちが通りかかったりすると、寿女は燥ゃぎたって店先きに呼びこんで、こんなことを言ったりする。
「あたしね、結婚の相手は異人さんに決めたのよ。背が高くなくっちゃ困るの。あたしがこんなにおチビでしょう、旦那さまがノッポで奥さまがおチビで、子供たちは、それで、中肉中背ってところよ」