Japanische Klassiker mit Furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Lesen Sie 痀女抄録 (くじょしょうろく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.578 Zeichen · 65 Bildschirme
聞き手たちは怺え性なく吹き出して、異人さんもいいが、話しをするときお寿女ちゃんはどうするんだろう、と訝かる。
「それあ、梯子をかけるのよ」
寿女は澄まして応える。どっと上った笑声の中から、このひとは赤ちゃんをどこへおんぶするつもりかしら、などと珍問も出る。
「背中はもう貸切りだから、それあ、前へおんぶするわ」
円いきょとんとした眼つきが如何にもとり澄ましているので、それが可笑しいとて、また、どっと笑う。笑いながら娘たちは、
「お気の毒にねえ」
と目顔でこっそり囁き合った。
「ねえ、神さまって、ずいぶん依怙贔屓があると思うわ」
不意に寿女がむきになってこう言い出すので、帰りかけていたものまでが惹かれてまた腰をおろしてしまう。
「若しかしたら、あたし、神さまの継っ子かもしれなくってよ。大きな荷物をおんぶさせられた揚句、きょうからまたお祭りなんですもの。ねじり鉢巻に襷がけしたって間に合いあしないわ」
女にだけ通じあう負い目の辛さがきて、聞いている娘たちはちょっと笑い出せない。
「荷物をおろして下さるか、お祭りを停めて下さるか、さあ、どっちですって、あたし、今朝っから強談判をしているところなのよ」