Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
びょうしつのげんえい
病室の幻影
豊島 与志雄
Lesen Sie 病室の幻影 (びょうしつのげんえい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.426 Zeichen · 11 Bildschirme
B――それを知っていながら、お前は悲しくはないのか。
A――少しも悲しいとは思わない。俺は常に、いつ死んでもよいような生き方をしてきたのだ。生きている間は、生きることを楽しみ、死ぬ場合には、死ぬことを楽しむのだ。生きたいとか死にたいとか、そういう欲求は俺にはない。俺にとっては、生も死も結局同じものだとしか考えられない。
B――お前は極端な虚無主義者だ。俺はそういう虚無主義を憎む。俺に云わすれば、生は凡てであり、死は無である。生きてる間こそ、この俺という者もあり、俺の生活もあり、人生もあるのだ。死はそれらのものを凡て滅ぼしてしまう。生も死も同じだというお前には、生活もなく、人生もなく、お前自身もなく、ただあるのは虚無ばかりだ。
A――いや、俺には常に喜びがある、その喜びを楽しむ俺自身がある。
B――然しお前が死んでしまったら、その喜びはどうなるのだ、その喜びを楽しむお前自身はどうなるのだ。
A――それがどうなるかは、俺の知ったことではない。俺はただ、生きることを楽しみ、死ぬことを楽しむだけだ。生きた後はどうなるか、死んだ後はどうなるか、そんな先のことを考えてはしない。