Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
どう? まアちゃんは猿が好きじゃない?」
「あら、猿を飼っていらっしゃいますの?」
と真顔になって、菊子がそれを尋ねたので、ナオミはいよいよ図に乗りながらいたずら好きの眼を光らして、
「ええ、飼っておりますの、菊子さんは猿がお好き?」
「わたくし、動物は何でも好きでございますわ、犬でも猫でも―――」
「そうして猿でも?」
「ええ、猿でも」
その問答があまり可笑しいので、熊谷は側方を向いて腹を抱える、浜田はハンケチを口へあててクスクス笑う、綺羅子もそれと感づいたらしくニヤニヤしている。が、菊子は案外人の好い女だと見えて、自分が嘲弄されているとは気がつきません。
「ふん、あの女はよっぽど馬鹿だよ、少し血の循りが悪いんじゃないかね」
やがて八番目のワン・ステップが始まって、熊谷と菊子が踊り場の方へ行ってしまうと、ナオミは綺羅子の居る前をも憚らず、口汚い調子で云うのでした。
「ねえ、綺羅子さん、あなたそうお思いにならなかった?」
「まあ、何でございますか、………」
「いいえ、あの方が猿みたいな感じがするでしょ、だからあたし、わざと猿々ッて云ってやったんですよ」
「まあ」
「みんながあんなに笑っているのに、気が付かないなんてよっぽど馬鹿だわ」