Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
ダンスにも行くことは行きますけれど、今までのように頻繁ではなく、行っても余り沢山は踊らずに、程よいところで切り上げて来る。客もうるさくはやって来ない。私が会社から帰って来ると、独りで大人しく留守番して、小説を読むとか、編物をするとか、静かに蓄音器を聴いているとか、花壇に花を植えるとかしている。
「今日も独りで留守番かね?」
「ええ、独りよ、誰も遊びに来なかったわ」
「じゃ、淋しくはなかったかね?」
「始めから独りときまっていれば、淋しいことなんかありゃしないわ、あたし平気よ」
そう云って、
「あたし、賑やかなのも好きだけれど、淋しいのも嫌いじゃないわ。子供の時分にはお友達なんかちっともなくって、いつも独りで遊んでいたのよ」
「ああ、そう云えばそんな風だったね。ダイヤモンド・カフエエにいた時分なんか、仲間の者ともあんまり口を利かないで、少し陰鬱なくらいだったね」
「ええ、そう、あたしはお転婆なようだけれど、ほんとうの性質は陰鬱なのよ。―――陰鬱じゃいけない?」
「大人しいのは結構だけれど、陰鬱になられても困るなア」
「でもこの間じゅうのように、暴れるよりはよくはなくって?」