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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

つまりナオミは、私が会社へ出て行ったあとで、一と汽車か二た汽車おくらせて、大森へやって来るのだそうです。いつも大概朝の十時前後に来て、十一時半には帰って行く。それで鎌倉へ戻るのはおそくも午後一時頃なので、彼女がまさかその間に大森まで行って来たろうとは、宿の者にも気がつかれないようにしてある。そして浜田は、今朝も十時に落ち合う手筈になっていたので、さっき私が上って来たのを、てっきりナオミが来たのだとばかり思っていた、と、そう彼は云うのでした。

この驚くべき自白に対して、最初に私の胸を一杯に充たしたものは、ただ茫然たる感じより外ありませんでした。開いた口が塞がらない、―――何ともかとも話にならない、―――事実その通りの気持でした。断って置きますが私はその時三十二歳で、ナオミの歳は十九でした。十九の娘が、かくも大胆に、かくも奸黠に、私を欺いていようとは! ナオミがそんな恐ろしい少女であるとは、今の今まで、いや、今になっても、まだ私には考えられないくらいでした。

「君とナオミとは、一体いつからそう云う関係になっていました?」

浜田を赦す赦さないは二の次の問題として、私は根掘り葉掘り、事実の真相を知りたいと思う願いに燃えました。