Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕は昨日は一日内にいましたけれど、今日は会社へ出ると云って来たんです。あの女のことだから、或は内々気がついたかも知れないが、まさか大森へ来るとは思っていないでしょう。僕は彼奴の部屋を捜したら、ラブ・レターでもありゃしないかと思ったもんだから、それで突然寄って見る気になったんです」

「ああそうですか、僕はそうじゃない、あなたが僕を掴まえに来たと思ったんです。しかしそれだと、後からナオミさんもやって来やしないでしょうか」

「いや、大丈夫、………僕は留守中、着物も財布も取り上げちまって、一歩も外へ出られないようにして来たんです。あのなりじゃ門口へだって出られやしませんよ」

「へえ、どんななりをしているんです?」

「ほら、君も知っている、あの桃色のちぢみのガウンがあったでしょう?」

「ああ、あれですか」

「あれ一枚で、細帯一つ締めていないんだから、大丈夫ですよ。まあ猛獣が檻へ入れられたようなもんです」

「しかし、さっき彼処へナオミさんが這入って来たらどうなったでしょう。それこそほんとに、どんな騒ぎが持ち上ったかも知れませんね」

「ですが一体、ナオミが君と今日逢うと云う約束をしたのはいつなんです?」